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田中一雄さん|社会とリフレーミング

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今日のブログは大学の授業についてのブログです。これからも毎週多彩な講師の方に来ていただく、大学院特別講義[リフレーミング]の授業を聞いてのメモや、自分の感想などを書いていきます。

第3回目の先生は、GKインダストリアルデザイン代表取締役社長の田中一雄さん。

田中一雄|TANAKA Kazuo

田中一雄 (たなかかずお)

㈱GKインダストリアルデザイン相談役
1956年東京生まれ。本籍:石川県 東京藝術大学大学院修了。㈱GKデザイン機構 前代表取締役社長。
(公財)日本デザイン振興会理事。国際インダストリアルデザイン団体協議会(ICSID)前理事。中国国際デザイン産業連盟副委員長。グッドデザイン賞、都市景観大賞、Red Dot Design賞 、Braun賞、if Shanghai賞、Australian・International Design賞、などの審査員を歴任。プロダクトから都市環境まで多様なデザインを手掛けている。技術士(建設環境)
高校時代に、カースタイリング創刊号を、いずみや(現tools)店頭で見て衝撃を受けカーデザイナーを志す。
写真と旅行と映画が趣味だが、最近は時間なし。蕎麦屋で日本酒が至福の時。

GKデザインについて

学生時代、友人に「GKのために生まれてきた男だ!」と言われた田中さん。というのも、GKデザインは仕事がきついので有名。体壊して辞めるか、上司と喧嘩してやめるか。
いつか「ぼくがGKを辞めなかったわけ」という本を書いてやると思っているとおっしゃっていました(笑)。読みたい!

GKデザインの概要

GKデザイングループの設立は1952年。インダストリアルデザインを中心に出発し、建築環境デザイン、グラフィックデザイン、テクノロジーデザインなど幅広い領域をカバーしています。また調査研究・企画開発・情報提供などソフト・ハードにいたる一貫したデザインの提供を特徴としたデザイン創造集団です。

GKの出掛けているモノの、領域の広さに改めて驚かされます。

まずはキッコーマンのしょうゆ卓上びん、西新宿のサインリング(あの円の信号機)、さらに千葉県に住んでいる自分には馴染み深い成田エクスプレスの車両デザイン(そういえば乗ったことない……!)や、JALの座席シート、毎日と言っていいほど見ているJRの駅の案内のサイン……。車両からパッケージ、サイン、景観まで、意識しなくてもGKのデザインでまちができてる……。

そういえば、西新宿のサインリングは、GoogleMapで上から見るとまんまるで面白い。

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と思ったけど、ブログに埋め込むと鳥瞰図になってしまうみたい、残念……。(ビルが!)

師匠

その人を語るときはその師、そして師の師から、ということで、Hans Gugelot(ハンス・グジェロ)の話へ。

田中さんの師である西澤健さんは、GKにいる間にウルム造形大学へ留学。そこでの卒業制作がとても優秀で、グジェロのところで働かないか、ということになった矢先、グジェロは交通事故で亡くなってしまいます。

その後、西澤さんはGKに帰ってきて大阪万博のデザインを手がけ、その後田中さん自身が愛・地球博のデザインを手がけるという、運命めいたものを感じていると仰っていました。

ストリートファニチュアの歩み

聖地メッカのためのデザイン

建築家・丹下健三の『メッカ巡礼者のための聖地ムナ計画』(実現せず)に付随するトレーラーやユニットのデザインを見せていただいた。
これ、「年3日だけ集まる100万人のための仮設都市の計画」というスケールの大きい都市デザイン。
使わない時は縁にユニットをはめておき、そのユニットを引き出してきて都市を作り出すとうイメージ。写真に残さなかったのを後悔しております。

自動改札機のデザイン

JR東日本の自動改札機のデザインも、GKデザインの作品。「あれ、山中俊治さんじゃないっけ?」と思ったのですが、「山中さんには角度を決めていただいた!」とおっしゃってました、なるほど。

ETCのゲート

これもGK! すこし青み(紫み)がかったゲート、こちらもGKデザインの作品。

スタンダードを作る

さらに、バス停やその横の掲示板、町に溶け込むスタンダードをつくり直し、統合することで景観を作る、ということをなさっていました。
横浜市の都市計画の事例を見せていただきましたが、バス停においても広告、時刻表、必要なものがひとつにまとまったコンパクトでスマートなデザインです。

ハッピーな仕事ができた だから辞めなかった

冒頭で言っていた「ぼくがGKを辞めなかったわけ」は、「ハッピーな仕事ができた」ことだとおっしゃっていました。 「こんな仕事がしたい」と思っていたら舞い降りてきた、とも。

リフレーム

ストリートファニチュアを考えるとき、土地に入っていき、地元に愛されるデザインを提案する。しかし、そこに地域性を反映するとしても、自分の持つスタイルは変わることはなく、反映するとしても自分のなかにはモダンデザインがある。

「若い時期(20代)に影響をうけたものはかわらない」と、ぐっと力をいれて仰っていて、でも「そんなの古い」と言われてしまえば終わりであることも、もちろん理解しているからこそ、時代の移り変わりに合わせて対応していくことの大切さを説いて下さいました。

田中さんは「自分史の中でリフレーミングする田中でした」という言葉で講義をしめて下さいました。

自分の信条のようなものを守りつつそこからリフレーミングしていく、自分の中の常識というものが自分の生きてきた経験(歴史)からできているのだとすれば、そこからリフレーミングして発想していくという、その言葉の持つ意味を深く考えさせられます。